ポメラニアンのイブ(病気療養中・蛋白漏出性腸症、炎症性腸疾患)+(時々)トイプードルのシニアわんこのミニ助のお話です

闇の話をしよう

闇の話をしよう

ハッキリ言う

僕は愛犬家でも何でもない

犬や猫、動物は好きだ

でも愛犬家ではない

何故なら、

自分が欲しくて飼った犬を、自分の都合で面倒が見れなくなり

自らの手で保健所に連れて行ったという過去があるからだ

 

「けん太」は、僕が二十代の頃、

実家を出て年上の彼女と同棲中の時に飼っていたビーグル犬

二人の子供のように可愛がっていたのだが

二年くらいして、彼女は僕ではない別の誰かとの

幸せを選択して出て行った

 

そうして僕とけん太の二人暮らしが始まった

それはそれで良かったのだが

ひとつ問題ができた

「年に2回、僕が実家に帰省するときに

けん太の面倒を見る人がいない」

 

今でこそ、ペットホテルとかあるけれど

当時(30年以上前)あったかどうかわからない

探した記憶もない

獣医さんに預けるとか、何か方法はあったと思うが

その頃の僕は少しずつ自分中心になっていて

けん太のことを考えなくなっていたんだと思う

 

結局、帰省する時は

同じ職場で家も近いパートの人に

(今と違って外飼いだった)

えさと水やりだけ頼んでしまった

三日も四日もつながれたまま

ただ見知らぬ誰かがえさと水だけやりにくる

今思えば、なんて無責任でひどいことだろう

それなのに、僕の感覚はどんどん麻痺していき

その状況に抵抗を感じなくなってしまっていた

 

それから数年経った頃だったか

僕は職場を退職し、一度実家に戻ることにした

もちろん、けん太も一緒に

 

実家で一緒に過ごす間も

僕は全然けん太を構っていなかった

何故、愛情を注げなくなっていたんだろう

自分が中心

つまり、自己チューだったとしか言い様がない

 

実家に戻って約1年後

僕は再び実家を出て一人暮らしをすることを決めた

(これが、けん太にとっては最悪の結果になる)

けん太を連れていくことは出来ないので

実家においていったのだが

何しろ、父にも母にも全く心を許しておらず

ろくに触ることもできない状況

 

それなのに置き去りにしてしまった

両親の手に負えず、日に日に猛犬となってしまったけん太

帰省した時に

僕はついにけん太を保健所へ連れて行く決断をしてしまった

 

そう、

僕は犬を殺した人間

良いヒトぶっているだけの最低の人間

こんなひどい話、身内しか知らない

(元カノには、今回のイブのことで再会した後にやっと伝えた)

身内以外には誰にも話さずに30年以上過ごしてきた

 

最期の姿

自分の生活、自分の都合、そんなことだけでけん太を死に追いやった

今だったら保護団体に確実にレスキューされる状況だろう

保健所に到着すると必要事項を記入して

係の人から最終の意思確認をされたのを覚えている

けん太は啼きもせず暴れもせず

とぼとぼと連れられて奥の部屋へ入って行った

その後ろ姿が忘れられない

というより、忘れてはいけないと思っている

だから今度生まれ変わったら

僕が犬でけん太が人間であって欲しい

そして僕に同じ事をして欲しい

馬鹿かも知れないけど本気でそう考える

 

 

もう一つの闇

実を言うと、もう一つ闇の話がある

4年前、我が家は夜中に出火して自宅が全焼してしまった

その時、(もちろん犬は飼っていないが)猫を飼っていた

僕と猫は2階の部屋で寝ていたんだけど

気付いた時にはかなり火が回っていて

煙もどんどん上に上がってきて

階段なんかじゃ降りられない状況で

外からハシゴをかけてもらって窓から脱出したのだ

猫を捕まえようとしたが、逃げ回ってしまい捕まえられない

結局、助けてやることが出来なかった

 

そう、僕はけん太だけでなく、猫まで殺してしまったのだ

キジ猫の「きゅう」だ

翌日、焼け焦げた柱とわずかに残ったかつての僕の部屋に上り

きゅうを探した

親戚の叔父さんや叔母さん、

そして元カノ(当時は彼女)も来てくれて一緒に探してくれた

何と、きゅうを見つけ出してくれたのは彼女だった

ありがとう

昨日よりふたまわりくらい小さく固くなっていた

きっと煙でやられたんだろう

彼女と一緒に庭の土を掘り、お経の本を持たせた

きゅうは成仏できたのかな

 

少し前に飛行機の火災で、乗員乗客は全員避難できたけど

荷室にペットが二匹残っていたというニュースを聞いた

飼い主さんは火の中でも助けに行きたかっただろう

僕は自分を優先していなかったかな

「そんなことない」と言える自信が無い

僕は二つの命を見殺しにした

闇だらけの人間です

 

未来

僕ももう50代後半

けん太のことがどうしても引っかかっていて

このことだけは

オトシマエをつけないと

死ぬに死ねないとずっと思っていた

 

忘れたふりは通らない

きちんと向き合わなければ

 

けん太のことがあってから

僕には犬を飼う資格なんてあるわけないから

犬を迎える、ことを

ずっと封印してきた

だけど今回

「イブ」という存在に出逢ったこと

とても深い意味があるのではないかと感じている

 

「後悔」だけしてたって仕方ない

 

僕がいつかこの世を去るまでに

どれくらいの時間があるのか分からないが

何か出来ることがあるはず

 

そんな僕が今、出来る事

目の前にある命を助けたい

 

そして

殺処分を待つ犬猫を一匹でも減らそうと尽力されている

様々な団体の方々に

毎月わずかながらの協力を

 

偽善と言われようがやれることをやる

ただ、それだけ

 

雲ひとつない晴天

(いつかの雲ひとつ無い青空)

>ありがとう

ありがとう

僕はあなた達からたくさん大切なことを教わりました。そして今もたくさんのプレゼントをもらっています。命のこと、心のこと、病むこと、生きること。ありがとう。そばにいてくれてありがとう。そばにいさせてくれてありがとう。

CTR IMG